2019年入団の高卒新人の2年目のファーム打撃成績まとめ。
OPSを基準に、2019年から2020年の間に最も成績を伸ばしている選手をランキング形式で紹介します。
はじめに
これまで数回にわたり高卒新人の1年目成績を比較してきました。
1年目から好成績を残した選手は、球団からの期待をかけられやすくなり、一軍昇格への道が近づくこと間違いないでしょう。
しかし、プロ野球で活躍している選手は必ずしも1年目にファームで活躍をした選手だけではないはず。そこで、入団後複数年の成績を比較していきたいと思います。
1回目は2019年入団組。
1年目は、山下航汰(巨人)が圧倒的な成績を残し、それを太田(オリックス)・万波(日本ハム)・濱田(ヤクルト)が追う形でした。
そんな2019年入団世代の2年目の成績を含めると見えてくるものが変わるか、見ていきます。(なお、2020年については9月8日時点成績)
1年目+2年目の打撃成績比較
比較方法
まず対象とする選手は次のようにします。
- 各年50打席以上打席に立っている選手
こと1年目に関しては身体作りもあると思いますし、3軍からスタートする選手も球団によっており、打席数はもらえないケースもあるかと思いますので、少し基準は甘めに設定しています。
比較基準は以下を用います。
- 平均OPS:各年に残したOPSを打席数・打数に関わらず均等に重みづけし、OPSを年数で割る(例:1年目OPS.500、2年目OPS.700の場合、平均OPS=(.500 +.700)÷2=.600)
⇒複数年にかけて安定した成績を残す素質のある選手が上位に来るはず - OPS上昇度:対象年とその前年のOPSの差分を見る(例:1年目OPS.500、2年目OPS.700の場合、OPS上昇度=.700-.500=.200)
⇒良い成長曲線を描けている選手が上位に来るはず
では見ていきましょう。
対象選手
2020年現在彼らは2年目のシーズンを戦っているところですので、2019年と2020年の成績で比較をしてまいりましょう。
まず2020年に2年目を迎えた2019年高卒入団組で、入団1,2年ともに50打席以上を経験している選手は9月8日現在以下の13選手です。
やはり高校BIG3と呼ばれた根尾・小園・藤原の3人は出番をきっちりもらえていますね。
1年目に素晴らしい成績を残していた山下(巨人)は2年目シーズンは故障が続いて、現状50打席には到達していません。
球団 | 選手名 | ドラフト順位 | 出身校 |
---|---|---|---|
中日 | 根尾 昂 | 2018年ドラフト1位 | 大阪桐蔭高 |
広島 | 小園 海斗 | 2018年ドラフト1位 | 報徳学園高 |
ロッテ | 藤原 恭大 | 2018年ドラフト1位 | 大阪桐蔭高 |
オリックス | 太田 椋 | 2018年ドラフト1位 | 天理高 |
阪神 | 小幡 竜平 | 2018年ドラフト2位 | 延岡学園高 |
広島 | 林 晃汰 | 2018年ドラフト3位 | 智弁和歌山高 |
中日 | 石橋 康太 | 2018年ドラフト4位 | 関東第一高 |
広島 | 中神 拓都 | 2018年ドラフト4位 | 市立岐阜商 |
日本ハム | 万波 中正 | 2018年ドラフト4位 | 横浜高 |
ヤクルト | 濱田 太貴 | 2018年ドラフト4位 | 明豊高 |
ロッテ | 山口 航輝 | 2018年ドラフト4位 | 明桜高 |
日本ハム | 田宮 裕涼 | 2018年ドラフト6位 | 成田高 |
広島 | 羽月 隆太郎 | 2018年ドラフト7位 | 神村学園高 |
平均OPSランキング
ではまずは複数年にかけて安定した成績を残す素質のある選手を見極めるため、平均OPSのランキングを見て行きましょう。まずは4位以降から。

やはり1年目に好成績を残していた太田や林は上位に来ています。
期待の高校BIG3は出番は貰えているものの、まだ世代を代表するというほどの前評判通りの活躍を見せられていないのが意外なところです。
1-3位はどうでしょうか。

1位には中日の石橋が来るという1年目成績を知っている人からすると意外性のある結果になっています。
1年目の時点では全く目立っていなかった選手ですが、2年平均で1位に輝くということは2年目の活躍が目覚ましいというのは確実でしょう。
万波・濱田は1年目に二桁本塁打を放ち長打力のあるところを示しており、2年目との平均でも上位に入ってきました。
OPS上昇度ランキング
次に良い成長曲線を描けている選手を見極めるため、OPS上昇度のランキングを見て行きましょう。
こちらもまずは4位以降から。

ここでは先ほどと比べてガラッと印象が異なる順位になっている選手もいますね。
最下位になってしまった太田は前年からOPS.110落としています。
とはいえ、太田に関しては2020年に1軍で2試合連続本塁打を放つ印象的な活躍をしていますし、1年目のOPSが優れていることを考慮すると、それほど悲観するものではないかもしれません。
同様に小園選手も成績を落としていますが、彼も1年目に一軍で多くの試合数を経験し、4本塁打を放つなど印象的な活躍をしました。
2年目の今季は一転苦しんでおりますが、高いポテンシャルを持った選手であることは疑いないと思うので、これからの巻き返しに期待です。
では1-3位です。

やはり石橋選手がOPS上昇度.274を目覚ましい数字を記録して1位に輝いています。
中日の2軍には2020年のドラフト1位で慶応大卒の郡司も入団し、年齢の近い選手同士での激しい争いが繰り広げられておりますが、今後注目の選手と言えるでしょう。
2位も中日。根尾選手が入りました。
1年目序盤は大変苦しみ、OPS4割台を記録していた時期もあったようですが、1年目後半からプロの感覚に慣れてきた様子で、2年目に入りいよいよ2軍でも上位レベルに食い込む成績を残しだしている模様です。
1軍でもライト前へのプロ初安打を放っていましたね。
3位の小幡選手は抜群の守備力で評価されている選手で、打撃に関しては非力という話もありましたが、着実に成長を見せています。
まだまだ成長の余地はあるのでしょうが、阪神の正二塁手である糸原選手が故障で一軍不在の間、1軍に昇格して2度のお立ち台に立つなど守備だけでなくバッティングでもアピールをしました。
2019年入団組はプロに入って2年目ということで、発展途上とは言いながらも果敢に1軍レギュラーの座も狙い掴む選手が出てきて欲しいなと思います。
順調に成長を見せつつ、毎年安定した成績を残せるようになれば、一流選手へと近づいていけるのではないかと思います。
1,2年目成績比較用OPSグラフ
最後に比較に用いた当該年度である2019年、2020年のOPSをプロットしたグラフです。
各選手の成績上昇、下降が一目でご覧いただけるかと思います。

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