2018年の高卒新人打撃成績比較まとめ。
世代を代表するスラッガートリオ清宮幸太郎(日本ハム)、村上宗隆(ヤクルト)、安田尚憲(ロッテ)に加え、好成績を残した高木渉(西武)、西巻賢二(楽天⇒ロッテ)らをピックアップします。
さらには高校日本代表組の中村奨成(広島)、西川愛也(西武)、伊藤康祐(中日)、増田珠(ソフトバンク)の成績も。
はじめに
2018年の高卒新人の打撃成績を見て行きます。
2017年の高校野球は小学生の頃から常に世代の中心として注目を集め続けた清宮幸太郎(早稲田実業⇒日本ハム1位)がいました。
高校日本代表で放った本数も含めると高校通算111本塁打の金字塔を打ち立て、自らが世代のトップに立つ存在であることを証明してみせました。
春のセンバツ決勝で大阪桐蔭と履正社高の対戦となり、史上初の大阪対決が実現しました。
後にプロで1巡目指名される藤原(大阪桐蔭⇒2019ロッテドラフト1位)、根尾(大阪桐蔭⇒2019中日ドラフト1位)、安田(履正社⇒2018ロッテドラフト1位)が出場した、ハイレベルな一戦でした。
一方夏の甲子園では花咲徳栄が優勝。花咲徳栄は網脇・清水達也(2018中日ドラフト4位)のタイプの異なる投手の2枚看板に加え、西川愛也(2018西武ドラフト2位)・野村(2019日本ハムドラフト2位)のいる打線を持ち合わせ連戦が続く大会を制しました。
大会の中心となったのは広陵高校の中村奨成(2018広島ドラフト1位)。28打数19安打6本塁打17打点と驚異的な成績を残し、一躍ドラフトの目玉候補になりました。
この年開催された第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ日本代表からのプロ入り選手は、上述の清宮・安田・中村・藤原のほか田浦文丸(2017ソフトバンクドラフト5位)、櫻井周斗(日大三⇒2017横浜DeNAドラフト5位)、西巻賢二(仙台育英⇒2017年楽天ドラフト6位⇒ロッテ)、小園海斗(報徳学園⇒2018広島ドラフト1位)、伊藤康祐(中京大中京⇒2017中日ドラフト5位)、増田 珠(横浜高⇒ソフトバンクドラフト3位)が後にプロ入りしています。
2018高卒野手 打撃成績比較
成績比較には出塁率、長打率とその和から計算されるOPSを用います。
一般的に一軍のレギュラークラスであればファームではOPS.700~.800を楽勝で超えていてほしいところでありますが、高卒新人であればプロへの順応を果たすための期間であることも多いので、.600を超えればある程度御の字と考えることができるでしょう。
100打席以上をファームで経験した選手を下図のグラフにまとめました。
横軸に出塁率、縦軸に長打率を設定しており、赤線は出塁率と長打率の和であるOPS=.500, .600, .700, .800, .900, 1.000の線をひいています。
右上に点があるほど、好成績ということになります。
100打席以上経験した選手のうち、OPS .600を達成した2018年の高卒野手は全部で6名でした。

1年目にしては驚異のOPS.930でレベルが高さを証明した清宮
上述の通りOPS.600超えを果たしたのが6人と数は多くありませんが、OPS.800レベルあるいはそれ以上を達成したのが3人いたというのはいいですね。
その中でもやはりすごいのは清宮。小学校から世代トップであり続けた男が、プロ1年目でもトップであり続けていることを証明してみせました。
たった45試合の出場で17本塁打を放った長打力は、2軍レベルでも群を抜くことは明らかです。さらには1軍でも53試合で7本塁打を放つなど、1年目としては十二分に持ち味を発揮しました。打率が上がってくれば、1軍レベルでもスター街道に乗ることが可能なはずです。
しかしながら2020年の3年目の今季になっても、なかなか思い通りの成長曲線を描けずもがいている印象はあります。
この辺りは確実性がなかなか上がってきていないことが問題でしょうか。
しかしながらそれでも通常の3年目の選手としてはまだまだ優秀な部類と言えますので、殻を破って本領が発揮できるタイミングを待ちたいところです。
2年目に大ブレイクの村上(ヤクルト)は1年目もすごかった
本来清宮のような成績を残した選手がいると、他の選手の存在はかすんでしまいそうなものですが、この年はもう一人すごいのがいました。
2年目には1軍で高卒2年目以内の歴代本塁打・打点記録1位となる活躍を見せた村上宗隆(ヤクルト)です。
村上に関しては好成績を残しながらもじっくりと2軍で出場機会が与えられ、結果として打率.288、17本塁打、70打点、OPS.879と各打撃部門でハイレベルな成績を残して見せました。
現状1軍レベルの対応に苦しむ清宮との違いを成績から考えると、打率の違いから見える確実性の違いが挙げられるかもしれません。
もう一点以外なことは村上が2軍で16盗塁(9盗塁死)を記録していることでしょうか。
成功率からして抜群に良いというわけではありませんが、最低限の走力を持ち合わせていることが感じられます。
高校スラッガートリオの間に割って入った高木渉(西武)
清宮・村上に続く3番手のOPSを残したのは西武の高木渉でした。
2017年の育成ドラフト1位の選手です。 OPSは.800に惜しくも届かない.796で打率(.278)、本塁打(6本塁打)と合わせて非常にレベルの高い成績を残した1年目でした。
2020年にはプロ初安打や猛打賞も記録し、いよいよ1軍のプロ野球ファンにも名前が知れ渡っていく段階に入っているのではないでしょうか。
世代3人目の長距離砲・安田(ロッテ)
安田もやはり世代を代表する野手として注目されてきた片りんを見せたプロ1年目シーズンでした。
打率.271、12本塁打はやはり並みの新人では残せない成績です。
こんな成績を残した選手がOPSで4番手というのは、上位陣がいかにハイレベルかを表しています。
一方でOPSが上位選手に劣った一つの理由として挙げられるのは打率の高さに比して低かった出塁率でしょうか。
これは1年目でボールに慣れないことで四球をそれほど選べなかったことが言えます。首脳陣からあえて振っていくことを厳命されていた可能性もありますが。
一方でこの点については2年目にIsoD(出塁率-打率)を.107に向上させ、順調に課題を克服してきていることが分かります。
現状3年目になって期待を込めて一軍で4番として固定起用されており、打率こそ2割そこそこなものの、出塁率は3割を軽く超えるようになっており、今や出塁能力の高さを感じさせてくれるまでになりました。
1年目.700超えを果たした西巻。翌年なぜ…?
上位に長距離砲が多く並んだ2018高卒新人に交じって、身長167cmの小柄な西巻が混じったのは意外性があったように思えますね。
5本塁打を放ち、OPSも.702と素晴らしい成績となりました。
1軍の内野手に故障が発生し、1軍の舞台でも25試合を経験したのはドラフト6位指名の高卒選手としては充分に合格点を与えてよいものでしょう。
東北出身の生え抜きとして、これからの楽天を担って行く存在として期待される…ものだと思いましたが、何と2年目終了後に支配下選手から外されることに。
球団の内情はよく分かりませんが、なかなか理解に苦しむ一件でした。
結局ロッテが獲得に動き、2020年からは新チームでのプレーとなっています。
他の高校日本代表メンバーは?
上述していない高校日本代表メンバー中村(広島)、伊藤(中日)、西川(西武)に関してはOPSが4-5割台におさまり、2年目以降の活躍が期待される結果となった。
また増田(ソフトバンク)に関しては1年目の主戦場が3軍であった。
高卒の長距離砲がトップクラスの活躍を見せた2018年プロ入り世代。
この先1軍で本塁打王を同期入団組で争うような日が来ると、プロ野球全体の盛り上がってくることでしょう。
期待したいですね。
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